スタートアップ向け コワーキングスペース選び 生産性向上に必要な設備 環境
スタートアップの活動拠点としてコワーキングスペースを検討される際、費用や立地、契約形態は重要な比較軸となります。しかし、日々の業務の効率やチーム全体の生産性を高めるためには、スペースが提供する設備や環境にも注目する必要があります。特に立ち上げ初期のスタートアップにおいては、限られたリソースの中で最大限の成果を出すために、これらの要素が非常に大きな影響を与えます。
この記事では、スタートアップの代表者がコワーキングスペースを選ぶ際に、生産性向上という視点から確認すべき設備や環境について解説します。どのような設備が必須レベルなのか、あると便利な設備は何か、そしてそれらをどのように比較検討すれば良いのかをご紹介します。
スタートアップにとって必須レベルの設備・環境
まず、スタートアップの生産性を維持・向上させる上で、妥協すべきではない必須レベルの設備・環境についてご説明します。
高速かつ安定したインターネット接続
オンラインでのコミュニケーション、データ共有、クラウドサービスの利用は現代のビジネスにおいて不可欠です。特にスタートアップは、Web会議や大容量ファイルの送受信を行う機会も多いため、高速かつ安定したWi-Fi環境は最も重要な要素の一つと言えます。
- チェックポイント:
- 通信速度（下り・上り）が十分か。
- 同時に多くのユーザーが接続した場合でも速度が低下しないか。
- 有線LANポートが利用可能か（安定性を求める場合に有効）。
- ネットワークセキュリティ対策は講じられているか。
内覧時やトライアル利用時には、実際に利用する時間帯に速度テストを行うことをお勧めします。
十分な電源供給
PC、スマートフォン、外部モニターなど、様々なデバイスを同時に利用することが一般的です。各ワークスペースに十分な数のコンセントが設置されているか確認が必要です。延長コードやUSBポートが利用できるとなお便利です。
- チェックポイント:
- 利用可能な席の数に対してコンセントの数が十分か。
- 席から無理なくアクセスできる位置にあるか。
- デスク下に設置されているか、壁に設置されているかなど、利用しやすいか。
用途に応じたワークスペースの種類と数
個人の集中作業、チームでの簡単な打ち合わせ、オンライン会議など、様々な業務内容に対応できるワークスペースの種類が必要です。オープンエリアのワークデスク、集中ブース、ソファ席、スタンディングデスクなど、多様な選択肢があることで、その時のタスクに最適な場所を選べます。
- チェックポイント:
- 集中して作業できる静かなエリアがあるか。
- カジュアルな打ち合わせができるスペースがあるか。
- オンライン会議に適した場所（周囲の音を拾いにくい、背景が適切など）があるか。
- 利用したい種類の席が常に十分に確保できる混雑状況か。
生産性をさらに高める、あると便利な設備・環境
必須レベルの設備に加え、あるとさらに業務効率やチームの連携を高められる設備や環境があります。
会議室とその予約システム
クライアントとの打ち合わせや、チーム内でのまとまった議論には、専用の会議室が欠かせません。人数に応じたサイズの会議室が複数あるか、予約はオンラインでスムーズに行えるか、利用料金は明確かなどを確認します。
- チェックポイント:
- 必要な人数に対応できる会議室があるか。
- プロジェクター、モニター、ホワイトボードなどの設備が整っているか。
- 予約は容易か、希望の時間に予約を取りやすいか。
- 利用料金は時間制か、プランに含まれるかなど。
フォンブース・個室ブース
機密性の高い内容を含む電話やオンライン会議、あるいは集中して作業したい場合に、周囲の音を気にせず利用できるフォンブースや個室ブースは非常に有用です。
- チェックポイント:
- ブースの数は十分か。
- 防音性や広さは適切か。
- 電源や換気機能があるか。
- 予約が必要か、自由に使用できるか。
プリンター・スキャナー
資料の印刷やスキャンが必要になる場面は少なくありません。これらの設備が利用できるか、料金体系はどのようになっているか確認しておくと安心です。
- チェックポイント:
- カラー印刷やスキャンは可能か。
- 利用料金は明確か、手頃か。
- 常に利用できる状態にメンテナンスされているか。
休憩スペース・リフレッシュエリア
長時間作業をする上で、適度な休憩は生産性維持に不可欠です。快適な休憩スペースや、ドリンクなどが用意されているエリアがあると、心身をリフレッシュしやすくなります。
- チェックポイント:
- リラックスできる椅子やソファがあるか。
- 無料のドリンク（コーヒー、紅茶、水など）は提供されているか。
- 食事を持ち込んで食べられるスペースがあるか。
セキュリティ関連設備
事業の機密情報を扱う上で、セキュリティ対策は非常に重要です。物理的な入退室管理、監視カメラの設置、ネットワークセキュリティなど、どのような対策が取られているかを確認してください。
- チェックポイント:
- 利用者以外の部外者が容易に入れない仕組みがあるか。
- 貸金庫や鍵付きのロッカーなどが利用できるか。
- ネットワーク（Wi-Fi）は暗号化されているか。
設備・環境を比較検討する際の視点
これらの設備・環境を比較する際には、単に「あるかないか」だけでなく、以下の視点も重要です。
- 質と容量: インターネットの速度、電源の数、会議室のサイズと数など、質と量がニーズに合っているか。
- 利用ルールと料金: 各設備の利用ルールは明確か、追加料金は発生するか、費用対効果は適切か。
- メンテナンス状況: 設備が常に利用できる状態に保たれているか。故障時の対応は迅速か。
- 内観写真・動画での確認: サイト掲載の内観写真や動画からは、席の種類、電源の位置、休憩スペースの雰囲気など、多くの設備・環境情報を得られます。これらの情報と実際の見学を組み合わせることで、より正確な判断が可能です。
まとめ
スタートアップのコワーキングスペース選びにおいては、コスト削減はもちろん重要ですが、チームの生産性を最大限に引き出すための設備・環境への投資も不可欠です。高速インターネット、十分な電源、多様なワークスペースといった必須の要素に加え、会議室、フォンブース、休憩スペースなどのあると便利な設備は、業務効率やメンバーの満足度を高める上で大きな役割を果たします。
気になるスペースが見つかったら、ぜひ内覧やトライアル利用を通じて、実際の設備や環境をご自身の目で確認されることをお勧めします。本記事でご紹介したチェックポイントが、貴社のコワーキングスペース選びの一助となれば幸いです。