コワーキングスペース 内覧・見学で失敗しないチェックポイント
コワーキングスペース選びにおいて、ウェブサイトの情報や写真だけでは分からない点が多く存在します。特にスタートアップの拠点として、あるいは重要な打ち合わせ場所として利用を検討する場合、実際の雰囲気や設備、利用者層などを自分の目で確認することは、失敗しない選択のために非常に重要です。
この記事では、コワーキングスペースの内覧・見学時に確認すべき具体的なチェックポイントを解説いたします。特に、コスト効率を重視しつつ、チーム利用や会議室利用のニーズを持つスタートアップ代表の方が、最適なスペースを見つけるための参考としてください。
なぜコワーキングスペースの内覧・見学が必要なのか
オンライン上の情報は便利ですが、それだけでスペースの全てを把握することは困難です。内覧・見学を通して、以下のような重要な点を直接確認できます。
- 実際の雰囲気: 写真では伝わりにくい、騒がしさ、静かさ、活気、利用者層、内装の具体的な質感などを体感できます。
- 設備の詳細と状態: Wi-Fiの速度や安定性、電源の数と配置、会議室の防音性、デスクや椅子の快適さ、休憩スペースの使いやすさなどを確認できます。
- 利用者のマナーやスペースの混雑度: 時間帯による利用者の多さや、利用者の作業スタイル（会話が多いか、集中しているかなど）を観察できます。
- スタッフの対応: 質問への回答の的確さや、スペースの管理体制などを伺い知ることができます。
- 周辺環境: オフィスビル内の立地だけでなく、近くの飲食店、コンビニエンスストア、郵便局などの利便性を確認できます。
これらの情報は、契約後の満足度に大きく影響するため、可能な限り内覧・見学を実施することをお勧めいたします。
内覧・見学前の準備：目的を明確にする
内覧に臨む前に、貴社やチームのニーズを整理し、目的を明確にしておくことが効率的な情報収集に繋がります。
- 主な利用目的: 個人の集中作業、チームでの共同作業、クライアントとの打ち合わせ、採用面接など、どのような目的で主に利用したいのか。
- 想定利用人数: 通常の利用人数、一時的に増える可能性のある人数。複数人での作業スペースや会議室の必要性。
- 必要な機能・サービス: 高速Wi-Fi、会議室、電話ブース、プリンター、ドリンクサービス、郵便受け、法人登記、イベントスペースなど、ビジネス遂行に不可欠な機能は何か。
- 希望する利用形態と予算: 月額会員（固定席、フリーアドレス）、ドロップイン、バーチャルオフィスなど、どの形態を希望するか。そして、月額として許容できる具体的な予算。
- 希望する立地: 最寄り駅、移動時間、主要な取引先からのアクセスなどを考慮し、具体的なエリアを絞り込みます。
これらの点を事前にリストアップしておくと、内覧時に確認すべき項目が明確になります。
内覧・見学時に確認すべき具体的なチェックポイント
準備した目的リストに基づき、以下の点を中心に確認を進めてください。
1. ワークスペース関連
- 雰囲気と騒音レベル: 静かに集中できるエリア、適度に会話が可能なエリアなど、自身のワークスタイルに合うか。電話やオンライン会議のしやすさ。
- 席の種類と数: デスクの種類（個室ブース、固定デスク、フリーテーブル、ソファ席など）が多様か。利用したい時間帯に十分な空きがあるか。
- 内装・清潔感: スペース全体のデザインやレイアウトは快適か。清掃は行き届いているか。
- 電源とWi-Fi: 電源コンセントの数と配置は十分か。Wi-Fiの速度と安定性は問題ないか。（可能であれば速度テストを推奨）
2. 複数人利用・会議室関連
- 複数人での作業エリア: チームで集まって作業できるスペースがあるか。そのエリアは会話が許容される雰囲気か。
- 会議室: 会議室の数、サイズ（収容人数）、内装、設備（モニター、ホワイトボードなど）。実際に部屋に入って広さや雰囲気を確かめます。
- 予約システムと利用料金: 会議室の予約システムは使いやすいか。利用料金は別途かかるのか、月額料金に含まれる範囲はどこまでか。予約の取りやすさ（混雑状況）。
3. 設備・アメニティ関連
- 通信環境: Wi-Fiだけでなく、有線LAN接続の可否や速度も確認します。
- プリンター・コピー機: 設置場所、利用料金、利用方法は確認します。
- ドリンクサービス: 無料提供されるドリンクの種類や、有料オプションを確認します。
- 休憩スペース: リラックスできるスペースや、飲食可能なエリアの有無と雰囲気。
- 電話ボックス・Web会議ブース: 個室で通話やWeb会議ができるスペースがあるか。予約は必要か。
4. 料金・契約関連
- 提示料金の確認: 初期費用、月額料金に含まれるサービス範囲、追加料金が発生するケース（会議室利用、印刷、ロッカーなど）を再確認します。
- 支払い方法と請求サイクル: どのような支払い方法が可能か。請求は月ごと、四半期ごとなど。
- 契約期間と解約条件: 最低契約期間はどのくらいか。解約時の手続きや違約金の有無を確認します。法人契約の際の特約事項なども確認が必要です。
5. 立地・アクセス・セキュリティ関連
- 交通アクセス: 最寄り駅からの実際の道のり、所要時間、分かりやすさを確認します。
- 周辺環境: 近くにランチ場所やコンビニ、郵便局があるか。来客があった際の周辺の様子。
- 入退室システムとセキュリティ: セキュリティカードやアプリ、指紋認証など、どのようなシステムで管理されているか。利用時間外のアクセスは可能か。
- 受付スタッフ: スタッフの常駐時間や、どのようなサポートを受けられるか。
6. その他
- 利用者層とコミュニティ: どのような業種や職種の利用者が多いか（あくまで可能な範囲で観察）。利用者同士の交流を促すようなイベントや取り組みがあるか。
- 郵便物・宅配便: 郵便物の受け取りや、宅配便の発送・受け取りサービスがあるか。法人登記は可能か。
内覧・見学後の検討プロセス
内覧・見学で得た情報を整理し、比較検討を行います。
- チェックリストの活用: 事前に作成したチェックリストや、内覧時にメモした内容をもとに、各スペースの情報を整理します。写真や動画を撮影しておくと、後で見返す際に役立ちます。（撮影許可は事前に確認してください）
- チームメンバーとの共有: チームで利用する場合は、内覧の様子や情報を共有し、全員の意見を聞くことが重要です。
- 疑問点の解消: 内覧時に聞けなかったことや、再度確認したい点があれば、電話やメールで問い合わせを行います。
- トライアル利用の検討: 可能であれば、有料または無料のトライアル期間を利用し、実際の使い勝手や雰囲気を確認してみることをお勧めします。
まとめ
コワーキングスペース選びは、事業の効率やチームのパフォーマンスに直結する重要な判断です。特にスタートアップのように変化のスピードが速い組織にとっては、コストだけでなく、柔軟性や必要な機能が備わっているかが鍵となります。
ウェブサイトの情報収集はもちろんのこと、実際にスペースに足を運び、雰囲気や設備、サービス内容を五感で確かめる内覧・見学は、最適なコワーキングスペースを見つけるための不可欠なステップと言えるでしょう。この記事でご紹介したチェックポイントを参考に、貴社にとって最適な「働く場」を見つけていただければ幸いです。